203号室で暮らそう

「木綿花チャン、柚実のところに居候してるんだって? なんで?」
 
細目の男子がビールを口に含み、訊ねてきた。

「まあ……色々と事情が……」
 
このひとたちに、実家の商店が潰れて、大学に通いながら一人暮らしとバイトで生計をたてていくことが困難で……なんて言っても、変な同情をされるか流されるかどっちかだろう。

「柚実と一緒に住むとなると、毎晩飲むのにつきあわされるだろう」
 
ガハハ、と大柄の男が笑う。

「ふうん。ま、飲んで飲んで。ウサ晴らししちゃいなよ」

「あ、はい……」
 
この細目の言うとおり、ウサ晴らしのためのお酒は、たまにはいいかも。
 
私はそう思い立ち、ぐびぐびと新しいビールを飲み始めた。
 
飲み続けた。