203号室で暮らそう



「シュウジ、いえーい! カンパーイ!」
 
柚実がビール缶を掲げて、細っこい男子と缶を合わせる。
 
この部屋の中で、今日、何度目かのカンパイの声。
 
よく解らないけれど、盛り上がっている。
 
柚実の、ここのアパートには、ひとが10人ほど集まっていて、宴会の最中だ。
 
私と柚実を除いては、みんな男子ばかり……。
 
全員、柚実の友だちだというから、すごいな。柚実の人脈。
 
感心しつつも、私は部屋の壁にもたれて、ビールをちびちびと飲んでいた。

「木綿花チャン、だっけ。お酒強いの~?」
 
頬を赤く染めている、茶髪の男の子が、じりじりと近寄ってきた。