203号室で暮らそう

呆気にとられながら、私も彼の後に続く。

「柚実ぃ。聞いてくれよー。彼女がまた浮気してよー」
 
その男のひとは、どうやら柚実の友人らしかった。
 
着替え終えていた柚実に、泣きついている。

「あらあ、またなの?」

「どうしたらいいんだよぉ。俺、アイツと別れたくないんだよぉ」

「はいはい。今日はじっくり話聞いてあげるから。その日本酒、私にも頂戴よ」
 
柚実は泣きじゃくる男のひとをたしなめつつ、お酒を要求している。
 
扱いがうまいというか、ちゃっかりしているというか。

「木綿花。木綿花もポン酒、飲も」
 
柚実はその泣き男のあたまを、よしよしとなでながら、私に声をかけてくれた。
 
でも……。