203号室で暮らそう

柚実は暑がりなのか、この秋という季節に、Tシャツ一枚にパンツ一丁といった格好をしていた。
 
焦っているような尋ね人の玄関のチャイム。
 
私は小走りで玄関へと向かった。
 
ガチャリとドアを開けると、そこには中肉中背の男の人が、半泣きで立っていた。
 
手には何故か、日本酒の一升瓶。
 
もう一方の片手には、おつまみやらが入っているコンビニ袋。
 
彼は私を見ると、何も言わずに靴を脱ぎ、「柚実ぃ」と半べそでリビングの方へと向かって行った。