203号室で暮らそう

「晩ご飯、どーする?」
 
柚実が携帯をチェックしながら尋ねてきた。

「あ、私作るよ。材料買ってこないと」

「じゃあ、一緒に、近くの安いスーパーにでも行くとしますか」

「うん」

ピンポーン。
 
不意に家のチャイムが鳴った。
 
一回鳴った、かと思うと。
 
ピンポンピンポンピンポン、ポンポンポン。
 
執拗なまでにベルが鳴らされる。

「あ、木綿花。悪い。 出てくれるかな? 私、着替えるから」