203号室で暮らそう

……陽景くんから、もらったもの。

「木綿花――。寒いでしょ、中入んなよ」
 
私がうつむいてぼんやりしていると、突然ガラッとべランダの戸が開き、柚実がひょこっと顔を出した。

「あ、電話終わったの?」

「うん。何も外に出ること、なかったのに」

「いや、何か悪いと思って」
 
引きつられるようにして戻った部屋の中は、暖かかった。
 
暖房はまだ使っていないはず。それだけ内外で寒暖の差が激しくなったってことなんだな。