203号室で暮らそう

柚実の言葉に、素直にこくんと頷いていた。
 
学校、諦めないで済む……。

「木綿花、ところで、陽景くんは?」
 
柚実が思いついたかのように尋ねてきた。
 
――。
 
私のこころの中に、また闇が広まっていくのを感じた。

「彼、……お家に帰っちゃった」
 
私は、心情を取り繕って、笑顔で返した。
 
久しぶりに出た笑顔だった。
 
とても悲しい、笑顔だった。