203号室で暮らそう

柚実が仰け反って言葉を吐く。
 
さらさらの長い髪が揺れる。

「だって、他に手立てがなくて――。あのさ、ユリちゃん。ユリちゃんのピアノサークルの部室に、ちょっとした荷物、置かせてもらえないかな?」
 
私の、あまりの展開に、ユリちゃんはさっきからその美しい顔を固めたままだった。

「あ、うん。荷物?」

「テキストとかノート類。ひとつのカバンに収めたんだけど、持ち歩くのには重くて」

「それは構わないけど……」
 
相変わらず3人は、心配そうな表情をこちらへ向ける。