203号室で暮らそう

「それにも審査があって……通るか解らないし、審査の時期まで生活そのものができるかどうかも解らないの。一時的に実家にかえっても、火の車の家計のお荷物になるだけだし……当分はどこかで……ネットカフェとかででも生活しようと思う」

「ネットカフェ?」
 
柚実が、黒くて凛々しい眉をひそめて尋ねてきた。

「あのね、うん……」
 
独り暮らしのアパートの家賃を払えなくなる、ということにまず気づき、早い方がいいと思い、早々に部屋を解約したこと。 
 
家電や家具や雑貨、売れるものは、全てリサイクルショップに売り払ったことを伝えた。
 
これで、手持ち金は少し増えた。

「ばかだねー。早まっちゃって」