203号室で暮らそう

あの頃から比べると、今は、柔らかくて穏やかな笑みを浮かべて、夜空を見上げている。
 
あの頃とは、本当に別人だ。

「俺ね、失恋したんだ。いや、失恋してたんだ」
 
彼は言葉を過去形にして言い直した。
 
だから、そっか。
 
あんなにも口が利けない状態だったのね。
 
私は、ただ黙って頷いた。