203号室で暮らそう

「すごい。どっかの高級レストランのメニューみたい」

「へへ。だけど、いつも通り、ちゃんと気持ちは込めて作ってあるからね。ただちちょっと、いつもよりは気持ち数%増量してある」

「いつもより? どうして?」

「……へへ」
 
陽景くんはただ首を傾げて笑うばかりだった。
 
ディナーはほんと、絶品だった。
 
お金を出さなきゃいけないんじゃないかと思うくらいの、おいしい料理だった。
 
お金を払う代わりに、今日は私が食べ終えたお皿を洗い終えると、陽景くんはベッドの上にちょこんと座り、私においでおいでと手招きをした。