203号室で暮らそう

「雄輔のことなら、もう大丈夫」

「ゆーか」

「いい加減にしないとね。もう、揺らがない」

「ゆーか……」
 
彼は口元だけに笑みを浮かべると、“ゆーかは強いね”と言って目を伏せた。
 
もう、こそこそしたりしない。
 
今までは、雄輔の姿を見たくないから、早めに教室に入って。
 
一番前の席に座って、講義が終わっても雄輔が教室を出て行くまで、しばらく席を動かなかったけれど。