203号室で暮らそう

私は、枕にあたまをつけたまま、陽景くんに食べさせてもらっていた。

「陽景くん。何、にこにこしてるの?」

「いや、何かこーゆーのっていいな、って思って」
 
桃の小片をじっと見て、何やら機嫌のよさそうな陽景くん。

「こーゆーの、って、何が?」

「こういう、誰かを介抱するのって、嬉しいな」

「嬉しい?」

「うん」