203号室で暮らそう

小皿にふたつの白桃。
 
小さいフォークまで刺しておいてくれた。

「ありがとう」
 
私は上半身を起こそうとした。

「ああ、ゆーか。いいから、寝てな。俺が食べさせてあげるよ」

「え……」
 
陽景くんは、寝台脇に腰を下ろすと、フォークで桃を小さく切ってくれた。

「はい、ゆーか。あーん」

「あーん」
 
ん、冷たくて美味しい。
 
もぐもぐもぐ……。