203号室で暮らそう

私みたいなところに、戻ってくるはずなんて、あるわけないじゃんか。

「……ごめん。あいつのこと、柚実ちゃんから聞いてたんだ」
 
陽景くんは、掴んでいた私の手首をゆっくりと離した。

「ううん。いいの。ありがとう」
 
私のために、雄介を遠ざけてくれた。
 
私、いつまでも、雄介に振り回されてたらいけないんだ。
 
かつて、恋人として過ごした時間は、もう戻ることはないんだ。
 
別れを告げられた時、それでも好きでいていいか、なんて未練たらしいこと、言うんじゃなかった。