203号室で暮らそう

彼は、眉間にシワを寄せて、私に近づいてきた。
 
まさか、こんなところで、出くわすなんて……。

「オマエ、この間、メールで好きな奴いないって言ってたじゃんか。何だよ、結局、この男とデキてたのかよ」
 
雄輔は、ジロリ、と陽景くんをヤブ睨みして、あれこれと捲くし立てた。
 
彼からの毎晩のメールは、相変わらず続いていたんだ。
 
ついこの間“あたらしい恋でも見つけたか?”の問いに、NOで返事をした。

「オマエら、学校でもいつも一緒にいるもんな。よろしくやってんじゃねーかよ」

「雄……」

「木綿花、別れ際に言ってたじゃないかよ。俺のこと、忘れるなんてできないから、ずっと好きでいいか、って。それが、何だよ。ちょっと顔のいい奴が近づいてきたからって、乗り換えたのかよ」