――背後からただならぬ気配を感じたのはその直後の事だった。




私のところに向かって徐々に歩いてくる足音を感じた。




思わず怖くなってゆっくりと後ろを振り返る。
何だか嫌な予感しかしなかった。




……っ！




その気配の正体が分かったとたん、寒さがして体が震えた。




思わず後ずさる。




私のわずか数センチ先に男の人が居たのだ。



真正面に男の人の顔……。




信じられない。
今まで誰も寄ってこなかったのに。
どれほど勇気のある人なんだろう。




……って何考えてるんだ私。
早くそいつから離れなくちゃ。




そう思った時にはもう遅かった。




逃げようとした時にはそいつは私の腕をぎゅっと握りしめていて。




「……ちょ！ やめて！」




でもそんな私の言葉を無視してそいつは更に手の力を強くして私を逃がさない。