クールなイケメン男子に惚れてしまって

「おーい!」




突然の事だった。




私が教室に行こうと足を踏み出した瞬間だった。




グラウンドに響くような大きな声が聞こえた。




またあのただならぬ気配を後ろから感じた。




「ん?」



誰かに呼ばれたので、反射的に声のするほうを振り返る。




声が男だったから、本当は逃げたかったけど。




でも聞き覚えのある声だったから。




私の後ろに立っていたのは、やっぱりあの谷口明っていう奴で。




私ににこっと笑顔を向けてきた。




なんなんだこいつ……と思いながらもそいつに向き直る。





本当はこいつなんて邪魔者で仕方無い。




だけど、だからこそ話をつけて、もう二度と喋りかけるなとでも言っておきたいのだ。




こんな奴と関わりを無くしたかった。