夏の終わりに



「森川さんは本が好きなの?」


「まあ…好きですけど」


「僕も本が好きなんだよね
現実逃避…できるからさ」


この人も現実逃避することがあるのか


文子はそう思った


まだ若くて顔もそれなりに整っている


普段の様子を見ていると


明るく活発で早くも生徒から人気な先生


そんな先生も現実から目を背けたくなることがあるのか


「先生もそんなこと思うんですね」


「まあ、人間だからな」


佐伯は笑いながら答えた