「じゃあ僕はこれで 話せて良かったよ、またね」 そう言い残すと佐伯は走り去っていった 久しぶりに家以外で言葉を発した 家族以外の人と話した たったこれだけの会話も文子にとっては新鮮だった 「佐伯…先生か」 私と先生は同じなんだろうか こんなにも違うのに 文子はそのことで頭がいっぱいだった