私の家には門限があって、冬は21時まで。
そんなの律儀に守ってくれなくてもいいのに、依くんはそれを知ってから門限を超えないように気を付けてくれるようになった。
「伊都、」
「え」
グイッと腕を引っ張られたと思えば、空いた角の席に座らせられる。
「疲れてないよ?」
「足、痛いんでしょ」
「っ」
「分かるわ、舐めんなよ」
吊革に掴まる依くんは、至って真剣な顔で私を見下ろして。
なんでもお見通しなんだなあ。
だったら今帰りたくないこの気持ちも察してほしいけど
もしかしたら依くんは察している上でこうして電車に乗っているのかもしれない。
「依くん、手繋ぎたい」
帰路時の住宅街。
あと少しで家に着いてしまうと思うと、喉の奥が苦しくなった。
「ん」
ぶっきらぼうに伸ばされた手を、飛びつくように交わす。

