残念ながら恋愛初心者な私には主導権なんてものは存在しなくて
言うなればされるがままってやつだ。
いつもは少年っぽさが残る人が、こんなに大人っぽくなるんだから
酔いって怖いな
そう思いながら離れていった顔をぼーっと見ていたら
よしよし、と頭を撫でられて
さっきの酔った様子が嘘みたいに生き生きしてるように見える。
それで
あれ、もしかして酔ってはない?
そう思って恐る恐る
「酔ってます?酔ってない?」
酔ってると思ったからキスだって恥ずかしくなかった。
それが酔ってなかったらさ、
羞恥の極みだよ私。
「俺、結構酒強いんやで?」
「ちゃんと酔うてるように見えとった?」
「騙してごめんな」
「ちょっとでも雰囲気を和ませたかってん」
ああ、穴があったら入りたい…
「でもさ」
「慣れてもらわんと困るもん、俺」
にっこりと笑う彼の
年上の顔が垣間見えた一瞬