死期が近づいた人を見ると、その人の死に様がまるで、夜見る夢のように頭に浮かぶのだ。
いや、人間だけじゃなかった。
犬、猫、鳥…。
ありとあらゆる動物の、死に様が、その動物を見るだけではっきりと、頭に浮かぶのだった。
シルヴィアは、まだ幼い。
見たものをそのまま口に出していっていたからはじめは気味悪がられていた。
やがて、周りの人々はシルヴィアが、ただの冗談を言っているだけではなく、本当にその人の死を予言していることに気づいた。
人々は、シルヴィアを恐れ、軽蔑した。
シルヴィアが、家へ帰ると母のアンネがベッドで編み物をしていた。
「また、いじめられたのね?」
アンネはもともと病弱で、顔色は悪く、頬は痩け、ベッドから離れられない生活を送っている。
「ここにおいで、シルヴィア。」
シルヴィアがベッドに近づくと、アンネは白く細い手でそっと赤黒く膨れた額に触れた。
「ごめんね。母さんがもっと元気だったらシルヴィアを守ってやれるのに。」
「母さんが謝る必要はないわ。私が魚屋さんのおじいさんのことを話してしまったから仕方ないの。」
シルヴィアは少し笑っていった。
「悪いのは私」
アンネはそんなシルヴィアの顔を寂しそうに見つめた。
シルヴィアは、他の子供よりおとなしい。
泣いた後がある頬をさすりながら、アンネは言った。
「せめてお父さんが生きてくれればよかったのに…。」
シルヴィアの父、