ゴツッ
額に石がぶつかり、血が出る。
シルヴィアは額を手で抑えた。
彼女の前方には、手に石を持った男の子がいる。
彼女も、男の子もまだ8歳だ。
シルヴィアは貧しい夫婦の間に生まれた。
もとは、それなりに力のある貴族だったらしいのだが、今はただの平民に成り下がっていた。
「やい、シルヴィア今度は、魚屋の爺さんが死んじまったぞ。
やっぱりお前は死神だ!」
石を投げた子どもとは違う子が、シルヴィアを指差して言う。
「違う…。私は見たままのことを言っただけ。
私のせいじゃない。」
そう言ってシルヴィアは、石畳の道を泣きながら走る。
(なんで私だけこんな思いをしなくちゃならないの?
私のせいじゃないのに…。)
シルヴィアは小さい頃から、不思議なものを見た。