「なんかさ」
「あ?」
「こうして二人になるの久しぶりだよね」
「昨日も帰った」
「まあそうだけど、よくよく思えばって事」
「…」
「僕さ、」
「…」
「緑ちゃんと恋人ごっこするの止める」
「は?」
「今日で終わりにするよ」
「なんだそれ。もう飽きたのかよ」
「むしろその逆」
「…」
「好きになっちゃった」
「…そう」
「緑ちゃんと一緒にいるとさ、楽しくて。もっと緑ちゃんの事知りたいって思った」
「ふーん」
「緑は?」
「なんで俺?」
「だって最初に緑ちゃんにちょっかい出したの、緑じゃん」
「別に」
「僕はてっきり緑ちゃんが気になってたのかと」
「そんな気持ち無い」
「へー、緑は今まで女の子に構ったりしたことってあったかな?」
「俺さ」
「ん?」
「バスケしてた小学の時にアイツに会ったんだよ」
「え?」
「アイツあの時派手にコケて、俺が助けた。俺ずっとアイツの事覚えてたんだよね」
「…」
「だって名前が同じとか貴重じゃん」
「…そうだったんだ」
「でもアイツ全く覚えてないんだけど」
「僕もそんな話聞いたことないな」
「だろ。鈍すぎんだよ」
「…」
「だから勘違いすんな。俺は決してアイツなんか好きじゃない」
「そっか。それが緑があの子に近づいた理由だったんだね」
「…あぁ。俺こっちだから。じゃあな」
「うん」
俺と瞬はいつもの電柱で別れた。