♪クレシェンド組曲♫

「まずどれ行く〜!?」
「準備室行ってみようで!」

私は、望美と回ることにし、準備室のドアをゆっくりと開けた。


準備室には、フルートと、サキソフォーン(通称サックス)の試し吹き場となっていた。


「フルートしてみようで!」
「いーよー」

私たちは、フルートを吹いてみる事にした。

「試し吹き来てくれてありがと〜!」

感激したような声で言うのは、フルートの先輩。長身で、短めの髪。
なんだか和む雰囲気のある、いい人っぽい先輩だ。

「こ、こんにちは。紗雪っていいます。」
「望美、です…」

望美は、人見知りで、人と話すときは声が小さくなりがちだ。


「私は、里緒菜(りおな)です!」

緊張気味にいう、里緒菜と名乗った先輩。慣れてないのかな。


「よろしくお願いします…」

私たち2人は、声を揃えて言った。

「あ、まずは、頭部管っていうんだけど、このフルートの頭の部分、口に当ててみて!」

そう言って差し出されたのは、銀色の
横に長いもの。

「そうそう。で、口元細くして?こう…」

少し恥ずかしいが、やってみる。

「で、真下に息入れるようにして、こう。」

トゥーーー…

少し高めの、綺麗な音が響いた。

「ぉー…」

「やってみて!」

言われた通りに、息を入れてみると…

トゥー……

短めだが、しっかりと音がなった。

「紗雪すごい!」

望美に、ビックリした目で見られた。
そんなにすごいことなのだろうか。意外とスムーズに出たため、そんな気はしなかった。

「すごっ!天才だ…私の半年間を…たった5分ほどで…」



いや、あんたは今まで何してたんだよ。
曲吹けてたじゃん。

思わず、心の中で突っ込んだ。