ようやく全員が、とりあえず運指を覚えた頃。

未來ちゃんとはかなり仲良くなり、呼び捨てになっていた。

「はい、基礎練するよ〜」

そう声をかけたのは、里緒菜先輩と、
奈々先輩。
奈々先輩は、三年生の先輩で、一年生で
一度吹部をやめ、三年生で戻ってきた先輩。

それにしてはすごく上手いし、私と同じでオタク仲間。

「まず、バンド教本の3ページ。ここね。誰が上のパートやって下のパートやるか決めてー」

上のパートはメロディーとなる音。
下のパートはハモりとなる音だ。

「じゃー私下で。」
私は、下にすることにした。

「じゃ私上。」
「うちは下ー」

望美は上、未來は下にするらしい。

そして、奈々先輩は、私と下を吹く。
里緒菜先輩は、望美と上を吹く。


スゥッ……

〜〜♪〜〜〜〜♪〜

短い小節だが、ハモった音が綺麗に響く。自分たちの音に、感動した。