「あたし今まで、薄情者としか言われたことなかった」 もう、榎本さんの威勢はすっかりなくなっている。 「…でも、木下が個性だって言ってくれた瞬間、木下はあたしの個性を引き出してくれると思った…から」 榎本さんは深呼吸をしてから、大声でこう言った。 「覚悟しといてよね、涙!」 そして、榎本さんは走って行ってしまった。