施設では私と同じ年で優しいカナがいて、私のお世話をしてくれる佐々木さんがいてくれたおかげで寂しいと思ったことは一度もない。
親に捨てられたって分かってたけど、親が何で私を捨てたのかも親がどんな人だったのかも分からない。
私が要らなかったのかもしれないし、どうしても手放さなければいけなかったのかもしれない。
どうしてだろうと考えたこともあった。
だけど私にはどうでも良かった。
もう一人で居るのに慣れてしまったから。
だから寂しいなんて思わなかった。
私の名前は幸 - さち -
私は自分の名前が嫌い。
さちって皆から呼ばれる度に嫌だったし、名前を書く度に嫌になった。

