真一は、麻里子からのメールに入っていた番号の部屋へと急いだ。

 エレベーターを降り、キーンとなった耳を指で押さえながら、廊下を早足で進む。

 いつもなら、柔らかいじゅうたんの感触の良さを味わいながら歩いていたが、いまはそんな余裕はなかった。

 黒いスーツを整えつつ壁のベルを鳴らすと、すぐに麻里子がドアを開けた。

 真一は部屋に入ると椅子にカバンを置き、ベッドに腰を下ろした。

 真横に、顔色の悪い麻里子が座る。