家に帰ってからは安らげる間もない真一には、誰にも知られずに、一人で飲みに行ける場所が欲しかった。

 それが会社の近くの地下鉄にあるバーだった。

 真一はここに、部長になってから、週に二日ほど通いはじめた。

 麻里子と出会ったのも、このバーだ。