「……」
「……」
お互いなにも話さない。
でも考えてることはきっと一緒だ。
「――あ」
聞いただけで明るい気持ちになる、そんな声が鼓膜をくすぐった。
この声――っ!
「愛ちゃん!!」
「うお!?」
見たときにはもう、結衣が抱きついていた。
「心配したよぉ、早退なんて…」
「えへへ、ちょっと色々あってね」
「……」
愛がいた、校門のすぐそばにある自販機のそばに。
でもその表情は――
「…誰か待ってたの」
「……」
悲しそうにうつむいた。
フッと、怒りがわいてきた。
熱い、沸騰した怒り。
…たく、元気が取り柄なのに、それを奪うやつはどうかしてるわ。
「誰」
アスファルトに向けられた瞳は、少し潤んでいた。
「……二島君」


