「…女に奢らせるとか、男のやることじゃねぇだろ」
「え?そんなこと――」
言い返そうとしたあたしを無視して、二島君は小銭を取り出した。
そして今度はポケットから自分の携帯を出して、自販機にかざした。
お、電子マネーですかぁ。
最近の若者は進んでますなぁー…。
何てバカみたいなことを考えていたら、
「ん」
ペットボトルを鼻の先に突きつけられた。
恐らく、受けとれって意味だろう。
けど…。
「…遠慮すんな、女はおとなしく受け取れ。
それともなに?一条って女じゃなうとか?」
「なっ、んなわけないじゃん!」
ペットボトルを見ると、オレンジジュースだった。
あたしの大好きな、オレンジ…。
ここであたしが飲まなかったら、この子はどうなるんだろう?
…オレンジジュースに罪はない。
「……じゃぁ、遠慮なく…」
ペットボトルを受けとる。
「うむ、素直でよろしい」
そう言って笑う二島君は、サイコーにかっこよかった。


