「……おい、どこまで行く気だよ」
「もう少し!」
う~ん、ないなぁ…。
探している間に、いつの間にか校門を出ていた。
そして、目当てのものを見つける。
「あった!」
そう、自販機だ。
不便だよね。
なんで校内に無いんだろ?
あたしは自販機に駆け寄ると小銭をいれた。
「はい」
「はい?」
訳がわからないって様子だ。
だって説明してないもん。
眉間にグッとシワがよっててちょっとこわい。
流石ヤンキー、迫力がある。
「お礼がしたいの!」
また首を傾げた。
か……ま、負けるなあたし!
「ほら!見せてくれたじゃん!」
「…あぁ、あれ」
思い出したらしい。
でも、納得してる顔じゃない。
「いや、あれは役得っていうか…」
「え?なに?」
ボソボソいってて聞こえない。
聞き返したら二島君は目に見えて慌てた。
「い、いらねぇよ!礼なんて。あんなの当たり前だろ」
何ていい人なんだろう!
でもあたしも引けない。
「さっきも助けてくれた!」
「や、俺も助けられたし!」
「ええ!!?」
思わず興奮して声をあげてしまった。
あたしの声に二島君がハッとして顔をそらす。
耳まで真っ赤だ。
…ずるい。
そんなの見せられたら、聞けないじゃん…。


