乱暴に俺を解放する。
「…二島君」
今度は酷く、冷たい声。
早川だとすぐにわかった。
「愛ちゃん、抜け殻みたいだよ」
胸がえぐられた気がした。
「…でも、二島君ならまだ、間に合う」
「!!」
フッと、早川が微笑んだ。
「だから、傍に行ってあげて。
伝えてあげてよ、二島君の気持ち。
愛ちゃん、きっと泣いて喜ぶから」
寂しそうな微笑みだった。
強くうなずく。
「…よーっし!
行ってこい!二島!!」
バンと、海が背中を叩いた。
それと同時に、俺は走り出した。
筋肉痛なんて関係ない、ただひたすらに、全力で走った。


