「…マジかよ、もしかして――」
「二島」
女の声と、最初は気づかなかった。
それくらい低い。
おまけに殺意丸出し。
見ると、黒川と早川が立っていた。
「…なんでフッたの?」
「……」
黒川の問いに、なにも答えられなかった。
カッコ悪すぎるから。
「…どうせ、守れなかったらどうしようとか思ってるんでしょ」
言い当てられた。
「…分かってるんなら――」
「それ、あんたの気持ちじゃないよね?
ただの言い訳。
二島、あんたは今、逃げてるだけだ」
「!!」
その通りだ。
俺は逃げてる。
「…あぁ、逃げてるよ。
怖いんだよ、アイツが俺のせいで傷つくのが。
もし守れなかったら、俺は――――」
「あぁもうっっ!!」
胸ぐらを捕まれた。
こいつ、女のくせに強い。
「守れるか守れないかじゃなくて、守るだろーが!!」
中々の名言だったと思う。
黒川の言葉に、俺のなにかが崩れた。
スッキリした。
「…わかったか?わかったよな?
じゃあ行け」


