「...下着も脱ぐべきかしら?」



「そうして欲しい、と言いたいところだが、それは我らのアジトに返ってから、俺の目の前でじっくりとやってもらおう」



変態ね、こいつ。



などと内心思いながらも、ルミアは表情を変えない。



普通恥ずかしがったりするのだろう



ロランはルミアの反応の無さを不服に思ったのか、気に入らなかったのか、次は「そこに跪け」と言ってきた。



言われるがままに、椅子に腰掛けているロランの目の前で跪くと、突然ルミアは顎を掴まれグイッと彼の顔前へ引き寄せられた。



「...んっ!!何を...!!」


「ったく度胸だけは一人前だな。しかし、本当に美しい。もっと顔をよく見せてみろ」



そう言ってロランはルミアを掴んだまま、舐めるように美しいその顔を観察する。



潤いのある薄い紅色の唇



白い肌の上に浮かぶ淡い桃色の頬



髪と同じ長く白い睫毛



それに縁どられたこく輝く瑠璃色を宿す左眼



そして



長い前髪に隠れていた黄金の右眼が姿を現す。



「...!お前、この右目...フェルダンの王族の出か!?」



フェルダンに生まれし王族は、その証に黄金の目を宿し誕生する。



その黄金色の純度が高ければ高いほど、より王家に近い血統の持ち主であることを示すと言う。





その程度の知識はロランの耳にも届いていた。



だからこそ、目の前に現れた初めて見る黄金のそれに目を丸くしたのだ。



「...私は、王族などという高貴なくらいの人間なんかじゃないわ。たしかに、血は流れているのかもしれないけれど、私がそう名乗ったことは無い。ただの魔法学校の教員よ」



「.......そうか、分かった。一先ずは信じておくとしよう。にしても、お前はどこまで俺の想像を覆すのだリリー・ホワイト」



 ロランの手がルミアの滑らかな肌の上をすべる。



 不愉快極まりないそれに耐えていた時、ルミアとロランの背筋にぞくりと寒気が走った。




「!?何っ」



 何事かと慌てて振り返る。



 そして、二人の目が捕えたのは







 碧く揺らめく魔力の炎を全身から発する、ユウの姿だった。