櫻の王子と雪の騎士 Ⅲ






 蛇に睨まれた蛙のように、ユウは固まりその場から動けない。



 ロランはそんな彼に、冷たく言葉を浴びせかける。



「お前につけておいた式神のおかげで簡単にフェルダンに入ることが出来た。こちらの思惑通りにな」



「...ッ!!じゃあ、俺は...」



利用された



 捨てられたんじゃなく



この人がフェルダンに入る為に利用されたのだ。



「この国はくだらん。平和ボケした愚かな国だ、反吐がでる。だが、この国の魔法使いの質は飛び抜けている、異常なほどに。特殊部隊の連中しかり、それ以外の魔法使いも他国じゃトップレベルの力を持ってるやつらがほとんどだ。フェルダンには何かがある、この国だけの特別な何かが
 それを知るために探りを入れた。そして、判明したのがここだ。魔法学校が生まれた場所。ここに何かしらの秘密があるに違いない」



 その情報がユウのおかげで手に入った。



「もうお前に用はない。魔法も使えん、人も殺せん、お前にはつくづくがっかりだ。だが俺の血を引く人間として最後は俺の手を持ってあの世へ送ってやる」



 恐怖で動けない自分の息子へ、ロランは自身の銃口を向ける。



 今の弱ったユウなら避けることも出来なければ、実弾一発であの世行き決定。



 魔法を使えない出来損ないに、魔法で殺す価値もないという事か。



「安心しろ、お前の母の様に一人で逝かせたりはしない。そこのガキどもと一緒だ。良かったな」



 その一言に固まっていた生徒たちは小さく悲鳴を上げて、より一層体を強張らせた。



 彼らの周りを、ロランの部下が囲っている。



 こいつらはやると言ったらやるだろう。



 本物の暗殺集団に情など存在しない。



 現に立ち向かってきた生徒や教師を半殺しにしてるのだ。



 ユウは震える声で必死に叫んだ。



「やめろっ...!彼らに手を出すな!」



「いずれ死ぬ。早まっただけさ」






 やれ。





 部屋の中にロランの冷酷な一声が響くと同時に、弾丸の音とロランの部下たちの魔法が放たれた。