◆
キーンコーン――――
(......ん、)
授業の終了を告げるチャイムがなる。
それにつられるように、ユウは静かに目を覚ました。
長く伸び切った前髪をかき上げ、ため息を付きつつ自分が眠る前の出来事を思い出す。
(確か、いつもみたいに体調を崩して、立っていられないほどに酷くなったからここに向かって...)
そこから先は覚えていない。
ベッドに居るということはちゃんとたどり着いたという事だろう。
ここに来ると不思議と体のだるさや倦怠感など、それまで感じていた身体の不調が一時的にだが良くなる。
実際はルミアが体内に溜まった魔力を外に出しているからだが、ユウはその事実を知らない為、この不思議な現象は保健室の魔法の力だと勘違いしているのだが。
保健室を見渡すと、書類や生徒のカルテが綺麗に整頓されたデスクにもたれ掛るようにして眠るルミアの姿があった。
ユウはそれを確認すると、ベッドを降り、足音を立てないように注意しながら彼女に近寄る。
そしてルミアの白い肌に手を伸ばした。
肩を上下させ眠る彼女はとても美しい。まるで泉の畔で眠る女神のように。
絹のように艶やかで白い髪、
珠のような肌
頬に影ができるほど長い睫
紅色の唇
衣服から覗く細く滑らかな手足
右耳の真珠のようなイヤリングも、胸元に見える銀のネックレスにかけられている光沢を帯びた赤黒い指輪も、ユウが贈った薔薇をモチーフにした金とブルーのバレッタも
全てが彼女の美しさを引き立てる。
ユウのお気に入りは彼女の笑った顔。
頬をピンクに染め、白い歯をのぞかせて笑う。
深い藍色の瞳と輝く黄金の瞳を細める仕草も。
彼女は黄金のそれを隠したいのか、長く伸びた前髪で片目を覆っているが、そんなことしなくていいのにとよく思う。
(どっちも綺麗で、あんたによく似合ってるのに...もったいない)
ユウは惹かれていた。
ルミア――ここではリリー・ホワイト――と言う女性に。
教師としてではなく、一人の女性として。
「...おい、起きろマヌケ面」
そう言って眠る彼女の頬をつねる。
「っいたたたた!やめっ、ちょっと何するのよーー!それが保健室を毎回貸してあげてる先生にする態度!?」
「よだれでてる」
「うそっ!!!?」
慌てる彼女をユウは鼻で笑いながら微笑ましげに見つめた。



