ユウ・アルシェ
青髪のこの青年は、数か月前異国からフェルダンの魔法学校に転入してきた。
しかし彼の所属すべきクラスはない。
何故なら彼は、魔法使いであるのに魔法を使えないから。まるで幼い頃のシェイラと同じように。
そう、ユウ・アルシェはあの頃のセレシェイラそのものだ。
魔法を使うことを恐れているのか、抵抗があるのか、自分の身体の奥深くに魔力を隠し閉じ込めてしまっている。
彼はよく、今の様に保健室に来ては死んだように眠るがこれも魔力を使えなくなっている証拠。
魔力は体内で常に生成されている為、定期的に体外に放出しなければいずれ魔力を保持するダムが決壊していまい身体が崩れてしまう。
シェイラの場合は魔力自体が他の大勢と異なるからか、魔法を使えなくなった期間が数年だったから体調が崩れることはなかったが、ユウは違う。
おそらくかなり幼い頃から魔力を使えていない。
彼は自分の魔力の件はあまり話したがらないが、今が高校三年の十八歳であることを考えると約十五年は使えていないと考えるのが妥当だろう。
ルミアはベッドで眠るユウの頭をそっと撫でる。
そしてもう一方の手を横たわる彼の身体にかざした。
その瞬間、ルミアの手とユウの身体が淡く光りだす。
ユウの身体から光が溢れだし、ルミアの手にゆっくりと吸収されていく。
今彼女は、ユウの身体から意図的に魔力をとり出している。
自発的に魔力を出すより量は劣るが、しないよりましだ。
多少の倦怠感は無くなるはず。
それにしても
(...体を壊してしまうまで魔力を体外に出さないなんて......)
ユウの身体はもうボロボロだ。
もう少し彼と会うのが早かったら、そう思うとルミアはやりきれない気持ちでいっぱいになる。
ルミアはもう一度、ユウの青い髪を撫でると静かにベッドから離れていった。



