ネロ・ファーナーの魔力は、自分以外の全ての魔力を拒絶、破壊する。


そしてその力をモロに身体に浴びると、体内に流れる魔力そのものが破壊され、魔力を生命エネルギーとする魔法使いは、最悪の場合『死ぬ』。


ネロは血の滲むような訓練を続け、その力をコントロールできるようになった。


そしてその効果は、魔力が体外へ流れ出る箇所でのみ限定的に働くようになった。


死にはしない。日常生活も支障なくできるし、病に侵されない限り寿命を満喫できるだろう。


だが、一度魔法を使おうとすれば、魔力が体外に出ようとすれば『常闇の魔力』の力が働きその瞬間から、魔法を使うことをやめるまで、外に出ようとする術者の魔力を破壊する。


その術者が死ぬまで、永続的に。


つまりそれは、魔法使いが『魔法を使えなくなる』ということ。


騎士ではいられなくなるということ。


当時、戦場でその力を奮ったネロは、幾人もの敵国の騎士達をこの力で倒した。


何千人という人間の騎士生命を断った。


人々は魔力を破壊するというその力より、己の命よりも大事な、自国のために戦う騎士の誇りを奪った、ネロの残酷さを呪って呼んだのだ。


【破壊卿】ネロ


騎士の誇りと人生を壊す者だと。