その日の朝、ルミアが目を覚ますと隣にいるはずのイーリスの姿はなかった
イーリスはルミアが国に帰ることを本人から聞き、知っていた
知ったうえで、自ら姿を消すことに決めていたのだ
ルミアの事が大好きで、
本当はずっとずっとそばに居たいと思った
けれど彼女には家族と言うものがあって
イーリス以外に大切なものがたくさんあって。
イーリスはこれでお別れなんだと思った。
それでもよかった
ただ、面と向かって言われることが恐かったのだ
『さようなら』と
ルミアから教わった、別れを意味するその言葉を言われることが
だからイーリスは逃げた。
まだ日が昇る前、薄暗い闇の中、イーリスはそっとルミアの隣から抜け出した
日中の訓練がたたり、熟睡のルミアをじっと見つめる。
自分を救い、暖かな愛情を注いでくれた彼女
もう会えないんだとそう思えば思うほど胸が苦しくて、イーリスの頬を涙が伝う
ぽたりと落ちたその雫はルミアの白い肌を濡らした
その雫を、そっとすくい取るようにイーリスはルミアの頬にキスを落とす
そして彼は、窓から部屋を抜け出した。
元の住処である深い深い森の中に戻る途中、アイリスの花が目に入った。
自分と同じ名を持つ花を一輪手折り、ギュッと握りしめて、イーリスは走り出す。
陽が昇り、ルミアが気づいたとき、イーリスの人の足跡が森に向かって伸びていた



