Secret Planetarium

先生が甘党なことくらい知っている。





──…ずっと見てきた。





それからも色々な話をした。
時間を忘れて話し込んだ。


楽しい時間は過ぎるのが早い。


「ヤバい!!こんな時間だ…」


時計を見ると短針が8の方に向いている。


先生は慌てふためいている。

「どうする?送る?」



先生は車の鍵をわざわざ急いで持ってきてくれた。


でも私はその誘いを何度も丁重に断った。



「最後に…名前教えて。」

先生は優しく聞いてきた。


「2年C組、香理…葉月 香理(ハヅキ カオリ)。」

私は笑ってそう答えた。



「ごめん。本当は知ってた。」


先生は小さく笑いながら手を振った。

照れ屋だから本当に一瞬だったけど小さく手を振った。


金木犀の香りががふわりと漂う。


私はその匂いを胸に残した。
忘れることはない。