顎に長く綺麗な人差し指を当て考える先生… そんな姿ですら私には愛しく思えてくる。 時計の針の音がリズムを刻む。 「…暇か…な?」 先生は小動物のように首を傾げる。 この時の事は何一つ忘れてない。 目の前のビーカーの数。 赤で書いてある「惑星」の文字。 先生の声のトーン。 机に置いてある金木犀の香り。 流れている雲の数まで鮮明に覚えている。 この日がなければ私の未来は変わっていたのかもしれない。 でも私はこの日が来たことを後悔したことなど微塵も無い。