夜中に家中に甘い声が響き渡る。



声の主は 私の実の母親。


また違う男かな?

なんてすぐさま考えてみる。


全く、実の子供が家にいるっていうのに教育に悪影響だよ…

なんて もう今更こんなこと慣れっこで。




私が生まれてすぐ父親が他界して 母親はその父の死のストレスと子育てのストレスのせいで壊れたように
酒に溺れては、男に溺れ、借金を抱えさせられれば、金に溺れた。



典型的な悪ループを母親は 私が小さい頃からずっと繰り返している。




酒や金に溺れるのはまだわかる。

けど、私には 愛に溺れる母を理解ができなかった。



"愛"さえなければ 全てが思うように動くんじゃないの?

"愛"さえ感じなければ 幸せな暮らしが出来るんじゃないの?



無論、これは多分 私がまだ"愛"を知らないし 母親の汚い"愛"を見て育ってきたから "愛"に対してのイメージが良くないだけなのかもしれない。

もしかすると 綺麗な"愛"というものが存在するのかもしれない。




だけど 私は 15年間生きてきた中で
綺麗な"愛"など1度も目にしたことがない。

あったとしても そこらへんのテレビドラマくらいで 現実では無いに等しい。



そんな私が "愛"に好印象を持てるはずがなかったのだ。