夜の街は光るネオンに行き交う人々。雑踏する街角。私はいつものようにただ歩くだけ。意味なんてない。ただ気を紛らわす為。今宵は満月。月明かりでいつもより視界が開ける。

「最近雨ばっかだったしな。久々に外に出たしもうちょっ…痛っ。す、すいません。」

「あ?ぶつかってきてその態度か?あ?」

こ、恐い。どうしよう…足が震えて動かない。

「聞いてんのか?今ので服汚れたんだけど。クリーニング代。出してくれるよな?」

「えっと…そんなの無理です。」

「あ?テメェーの意見なんざ聞いてねんだよ。いいからクリーニング代5万払えつってんだよ。」

「…」

もうやだよ。私が何したの?いや、ぶつかったよ?ぶつかったから謝ったのに一方的すぎる。こんなの理不尽だよ。泣いちゃダメ。でももう我慢できそうにないや…

「何してんだ」