「学校はもう慣れたか？」

「まぁまぁかな。」

「そうか。」

家に帰るとそう聞かれた。恋兄はいつも深くは聞かない。聞いたところで私が話さないって事もわかってる。それに心の奥深くまでは入ってこない。それが恋兄の優しさ。

「ところであの空夢って奴？どっかで見たことあるんだよな。」

「有名な不良だったりしてね。前不良に絡まれた時空夢の名前聞いたらその人達慌てて逃げてったし。」

「空夢…！もしかして桐原空夢か？」

「なんで知ってるの？」

「ここらじゃ有名な不良だぞ？」

「そうなんだ。」

恋兄は反対するのかな。関わるなって言うのかな。そんなの嫌だよ。まだ空夢と一緒にいたいよ。あれ？なんで私空夢の事…

「反対すると思ったか？」

「へ？」

「寂しそうな顔してる。ほらおいで？」

やっぱり恋兄にはなんでもお見通し。頑張って偽ったって見破られる。私がそれ以上寂しい思いをしないようにいつも抱きしめてくれる。