寂しがりやのウサギさん

「皆には内緒だよ?」

誰にだって知られたくないことはある。きっと何か理由がある。もし私が伊藤君の立場なら私だって皆には内緒にする。お金持ちってだけで媚を売ってくる人達。伊藤君はイケメンの部類に入る。女の子達も黙ってないと思う。

「うん。わかった!」

だから私はそう答えた。それから恋兄の元に行く。

「恋兄これ着けて〜」

「お揃いにしたのか?よし。よく似合ってる。」

そう言って恋兄は頭を撫でてくれた。私は恋兄から頭を撫でてもらうのが好き。というより恋兄が大好き。こんなこと言ったら恥ずかしいから本人には言わないけどね。

「あ〜俺が着けてあげたのに。まぁ虎牙とか他の男じゃなくてお兄さんだからいいけど。」

「空夢さ、宇佐美ちゃんのこと気になるのはわかったけどそれは攻めすぎだよ。」

「い、妹は渡さんぞ?」

私が気になる?攻めすぎ?私は渡さない?どういう事?全然意味がわかんないや。なんの話をしてるんだろ。でも…

「渡すも何も私恋兄のじゃないよ?」

「ガーン」

「「プッあははは。やばいって」」

「宇佐美ちゃん最高だは。」

「流石俺の羽和。」

「待て。羽和はお前のものでもないドヤッってなんで顔赤くしちゃってるの?俺の時は違うって言ったのに〜」

「そういうことですよニコ」

恋兄の言うとおりだ。なぜか空夢に言われた時は否定しなかった。ううん。否定できなかった。さっきからやけに心臓が"ドキドキ"って高鳴るこの気持ちは何?

「って見ないで。」

恥ずかしいったらありゃしない。でもそれすらも心地いいと感じてしまう。胸の高鳴りはまだ治まらない。