寂しがりやのウサギさん

「あ、あの…助けていただいて本当にありがとうございました。後送ってくださったのも。」

「ん?あー、別いいよ?気にしないでよ。」

「えっと…その名前…」

「俺?」

なんかさっきから緊張して上手く喋れない。代わりに頷いた。

「俺は桐原空夢。好きに呼んで?」

「羽和。私宇佐美羽和。今日はありがと空夢ニコ」

「羽和か。いい名前じゃん?てかあんなとこで何してなたの?」

「なんとなくそういう気分だっただけ…」

初対面の人に話していいのかわからないから理由は黙っとこ。それに私もいまいちわかってないし。なんで寂しいって気持ちが溢れてきたのか。私も知りたいよ。

「ふーん。まぁ言いたくないんだったら別いいけど。いつもこんな時間に出かけてんの?」

「うん。毎日来るわけじゃないけど。寂しいって思った時だけ夜の街に…!!」

しまった。余計なことまで喋った。慌てて口を抑えたけど時すでに遅し。