私だけに優しくしてって言うのはズルイから。


「家でだけ、こうやって優しくしてください。」


みんなの人気者っていう先生を捻じ曲げるような事はしたくない。


「学校で俺が女子と仲良くしててもいやじゃないの?」


「いやですけど…。」


先生の大きな背中に手を回す。


「千音…?」


そんなびっくりした顔しなくてもいいじゃないですか。


「先生は、みんなの先生だから。」


程よい距離感を保つ事で、この関係が壊れないなら、ちょっとの我慢くらいなんだってんだ。


「ほんと、変なところで物分かり良いよな。俺の彼女は。」


また体の温度が上がっていく。


「放っておいてください。」


恥ずかしくて、先生の胸に顔をうずめる。


「分かったよ。その代わり、ちゃんと俺にだけ甘えろ。いいな。」


「はい。」



『何があっても、他の男には甘えるな。』



そんな先生の声が、触れ合った唇を通して伝わった。